日日日 『みにくいあひるの恋2』 (MF文庫J)

みにくいあひるの恋 2 (MF文庫J あ 2-14)

みにくいあひるの恋 2 (MF文庫J あ 2-14)

幸福とは、多くの場合、他人の不幸を原料にして生産される。

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恋をすると死んでしまうという,文字通りの「恋の病」がかつて蔓延していた世界.夏休みを利用して,金城あひると白鳥陀衣,紫舞沢遊菊の三人は,あひるの患うある病気を治すため,特効薬と言われる「人魚の肉」を求め,「人魚の島」と呼ばれる場所へ向かうことになった.
恋をすると死ぬ(かもしれない),という前提のある世界での恋物語.やはり注目すべきは物語の大前提である「恋」の描かれ方かな.社会にタブー視されながら,若年層にはなんとはなしの憧れの対象となる,よく分からないけど甘くて危険なもの,という.「恋」を生まないまま社会を保つ方法として,小さなころから兄と妹(姉と弟)をペアとしてあてがう社会制度も然り.考える甲斐のある面白いテーマだと思う.作中「恋」の定義をあいまいにしたままなのはおそらくわざとだろうけど,それでも一歩踏み込みが足りないように見えるのは作者の力量なのか,レーベルの都合なのか,なぁ.そこ以外はいつもの日日日といった感じでした.ここまでは子どもの視点からの「恋」しか描かれていないので,次は大人の視点での「恋」とはなんなのかを見てみたいな,なんてこと思った.