橘柑子 『カエルと殿下と森の魔女 緑竜亭繁盛記』 (ファミ通文庫)

ほーらね、言わんこっちゃない。若ヒゲなんか生やしたやつにロクな男はいやしないのよ。

Amazon CAPTCHA

緑竜亭は闇の森と人間の世界との境にある旅籠.人間以外にもお客の不死人やら妖精やら狼男やらで毎日てんやわんやの大賑わい.そんなある日,鎧を着込んでカエルを抱えた優男が緑竜亭にやってきた.カエルに姿を変えられてしまった姫の呪いを解いてもらうため,森の魔女に会いに来たと優男もとい王子は言う.
第 6 回えんため大賞優秀賞受賞作.魔女や人外たちが愉快に同居している中世ファンタジー風の世界を,緑竜亭のひとり娘にして看板娘,リュン・グリーンの元気いっぱいの一人称で語るライトなドタバタコメディ.魔女や人外たちは愛嬌たっぷり,やたらパワフルな女性陣と,ひたすら情けない男性陣の対比も楽しい.ストーリーも捻りが効いている.オーソドックスではあるけれどしっかりまとまっていて,誰にでも薦めやすい一冊だと思う.良かったです.