むらさきゆきや 『ゆうれいなんか見えない!』 (GA文庫)

ゆうれいなんか見えない! (GA文庫)

ゆうれいなんか見えない! (GA文庫)

くすくす、と彼女が笑う。
「本当に意味のあるものは目には見えないんですよ」
ふたたび依が鈴を鳴らした。

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敦志は生まれつき幽霊が見える体質を持っていた.「見える」ことを周囲に話すと避けられる.子どものころから学習していた敦志は,故郷から遠く離れた高校への進学を果たす.その入学式の日の通学路,さっそく幽霊に絡まれていたところを,白い髪を持った女の子に話しかけられる.
第 1 回 GA文庫大賞奨励賞受賞作.幽霊が見えることからくる経験のため卑屈になってしまった男子高校生と,まだそんな経験もなく,周囲の目を気にしない屈託ない女子小学生の対比.テーマは素直に出ていると思う.ヒロインが小学生なのも一定の説得力はあると思う.しかし周囲の目ばかりを気にして縮こまり,隣にいる小学生の女の子を異性として意識しまくる,という主人公に感情移入しにくい.テーマ自体が似たものは他にもあるので,おそらく描き方の問題が強いのだろうけど,どーにも受け入れがたく.かなり読みにくく感じた.