六塚光 『墜落世界のハイダイバー2』 (スニーカー文庫)

墜落世界のハイダイバー2 (角川スニーカー文庫)

墜落世界のハイダイバー2 (角川スニーカー文庫)

そう、初めての「人殺し」にしては、あまりにもあっさりとしていた。何の感慨も湧いてこないという事実が、かえって要の心を冷やす。
ライナを裂いたソールドが、要の手先に帰ってくる。その表面は、べっとりと血で濡れていた。

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メドラニカと呼ばれる教義により,貧乳は理由もなく虐げられる異世界イセス・メリア.五つの月の及ぼす重力を操ることができる引導士の要は,シュマルカルデン公国のエージェントとなり,行方の分からなくなった友人を追うことにする.
理不尽に貧乳が虐げられる世界での「スカイダイブ・バトル」.堅固なおっぱいカーストが強烈に目立つけど,誰かを殺さなければ自分が殺されかねない,という世界観描写がすごく苛烈でヒリヒリくる.殺しの描写にもいっさいのためらいがない.
価値観がまったく異なる(良い悪いでなく)異世界で,元日本人がその歪みを指摘する.世界の価値観そのものを変えようとする,大きな話になっていくのかな.時代や地域によってはこんな「バカな話」がまかり通ってしまうこともある,というあとがきを読んで,深くうなずいたのでありました.