伊藤ヒロ 『百合×薔薇 彼女の為の剣と、彼の為の乙女の園』 (スーパーダッシュ文庫)

百合×薔薇―彼女の為の剣と、彼の為の乙女の園 (集英社スーパーダッシュ文庫)

百合×薔薇―彼女の為の剣と、彼の為の乙女の園 (集英社スーパーダッシュ文庫)

僕の名は“姫百合の君”花邑べにお。
後に“姫百合姫”の名で関東全域の女学院生二〇〇〇余名から、
『お姉様』
と呼ばれる男子だ。

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「花使い」(リリス)とは,先天的に特殊な能力を持つ少女たちの総称である.“白百合の君”こと花邑しらゆきの弟・べにおは,花使いを集めた国立バーネット女学院に女装して通うことを強要される.
「この女学院(がっこう)は、僕が支配(しき)ります」.女装と女学院と超能力と.舞台立ては非常に分かりやすいのだけど,全体の雰囲気ややっていることはほとんどヤクザ小説だと思う.転校早々でクラスの大半をぶちのめす主人公だの,姉妹の契りを盃で交わすだの.お嬢様がたも揃いも揃ってやたら血の気が多く,放課後の会議も出入の相談にしか見えない.ふた昔くらい前ならスケ番小説とでも呼ばれたのかな(ただし女装).まあ分かってやっているのは間違いないし良い意味でサクサク読める.その代わりなのか,「女学院」独特の雰囲気は薄く,せっかくの舞台がいまひとつ生かされていない気はした.
主人公の能力である超銀河伝説剣(Lilium concolor)が万能すぎるのをどう動かしていくのかが今後気になるところ.そろそろ続編が出るはずなので読んで確認してみます.