蒼月海晴 『黄昏百鬼異聞録』 (講談社BOX)

黄昏百鬼異聞録 (講談社BOX)

黄昏百鬼異聞録 (講談社BOX)

「しかし、発行から百年経った電子書籍付喪神と化すかどうかは微妙ですがね」
焼き上がった肉を小皿に取りつつ、秀真はそんな事を呟く。
「そうねぇ。電子書籍は器物じゃないものね。そうなると、別のものが宿るんじゃないかしら」

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第 2 回 BOX-AiR 新人賞受賞作.妖怪を見ることのできる「見鬼」の力を持った少年,九十九秀真と,屍肉を喰らう魍魎の少女,神楽を中心に描く現代の妖怪物語.妖怪ものとしてはオーソドックスな連作短篇集だと思う.ちょっと手堅すぎるのはよかったり悪かったり.引用部分のような,「現代」の妖怪に関する話がもうちょっとあると良かったかなあ.それと,古い因縁が狭い範囲に集中しているせいか,やたら狭い世界の話に見えるのがちょっと気になったところ.