赤井紅介 『白翼のリンケージ III』 （スーパーダッシュ文庫）

白翼のリンケージ〈3〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

「なあ、楓。……今、あたしの胸がモヤモヤしているのは、オマエの心が“リンク”されたから？　それともあたしの心が感じていること？」
この胸を掻き毟りたくなるような気持ちは、間違いなく“リンク”されている。けれどそれは、おれと明日花の心のどちらを起点として起こった感情なんだ？
「わからないんだよ、楓。これはあたしたちのどちらかから生まれた、本当の気持ち？　だとしたら、どっちから生まれたんだろう。それとも“リンク”によって増幅されただけの、ただの友達に対する好き？」

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現世の剣鬼こと紀尾井竜玄が行方不明になった．程なく知れた彼のツイートによると，どうやら単独で隔離街へ向かったらしい．どうやら全てのイルの源である真祖の目覚めが近いらしい．隔離街の存在する真の意味を知る楓と明日花たちは，竜玄を追い隔離街へと入る．
敵・味方ともにラスボス級のチートキャラがバンバンと登場し，派手に斬り結ぶ，「伝奇剣戟アクション」完結編．最終巻らしい景気の良さと見るか，打ち切りによる尻切れラストと見るか．ドタバタしていたことは作者も認めているようだけど……．心理状態を強制的に共有してしまう“リンク”が活かしきれなかったなあ，というのが個人的な感想．いやこれはこれで綺麗にまとめていると思う（隔離街の設定には感心した）のだけど，“リンク”にはラブコメ的な意味での可能性がもっとたくさんあったと思うんだよね．