赤井紅介 『白翼のリンケージ』 (スーパーダッシュ文庫)

白翼のリンケージ (集英社スーパーダッシュ文庫)

白翼のリンケージ (集英社スーパーダッシュ文庫)

真っ赤に染まった明日花の顔が脳裏から離れない。おれもまだ冷静になりきれていない。あるいは、明日花が感じている感情を受け取り続けているためか。
いずれにしても、これは……。
「──恋じゃねー」
と、思う。
おれはずりずりと背中を滑らせて、力なくその場にへたり込んだ。

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時は現代,人間を「イル」と呼ばれる異形へと変貌させるウイルスが蔓延していた.人間の意識を失い夜な夜な徘徊するイルを,ひっそりと仕留めていた「辻斬り」高遠楓は,その切り結びの最中,内閣情報調査室・イル対策課の七条明日花に出会う.
イルの呪いによって,感情や肉体の状態を共有(“リンク”)することになってしまった楓と明日花のラブラブ異能.テレテレっとした興奮やら肉体の怪我のみならず,生理痛までリモートで共有してしまうというのはなかなか徹底している.ストーリーや雰囲気は前前作の『パーフェクト・ブラッド』にかなり近いかな.こちらは一巻からラブが全開,やいのやいのとやかましい主人公の一人称と相まって,読んでて非常に照れくさい.っていうかこいつら可愛いな! って素直に思える.
それにしても,「私に満足いくまで書かせていただけたなら、決して失望はさせません。それだけは約束いたします。」と堂々言い切るあとがきが格好いい.こんな頼もしいあとがきはじめて読んだ.楽しみにしております.