深見真 『僕の学校の暗殺部2 たぶん個人的な事情』 (ファミ通文庫)

「あなたにとって銃とはどんなものですか?」
「初めて銃を撃ったときのことを覚えていますか?」
「最近、セックスをしましたか?」
「同性とのセックスに抵抗はありますか?」
「〈いるか人間〉を殺すことについてどう考えていますか?」
「ええ……」「なるほど」「ふうむ」
「……それは本当に罪の意識ですか?」

Amazon CAPTCHA

未但馬裕佳梨を失った悲しみを抱えたまま,零士は暗殺部の活動を続けていた.そんな折,都内にある冠葉原高校の暗殺部が,ひとりを残して壊滅したという情報が入る.正袈裟高校暗殺部は,その唯一の生き残りである少女,詩舞を迎え入れる.
社会に潜む〈いるか人間〉たちと,それを密かに始末する暗殺部の暗躍を描くシリーズ第二巻.作者が過去に書いてきたシリーズと,目指す方向は(おそらく)そう大きく違わないと思うのだけど,比べ物にならないほど洗練されており,ちょっとゾッとした.大義名分のない,暴力のための暴力を,純粋に,鋭く,乾ききったものとして描いているというか.人間社会にいて,人間の姿をした狂人,というものを,ライトノベルの枠を利用してギリギリまで描いている.テキストはもちろん造語のセンスもすごいんだよなー.〈いるか人間〉,〈地球コブ〉,〈かげもず〉,〈ハクジラ戦闘類〉,「ビルギッソン・レイキャビク学派」といった造語が無造作にぽんっと出てくるたび,ワクワクとゾワッが同時に訪れる.バイオレンス小説の大傑作だと思いました.