- 作者: 深見真,ニトロプラス,Production I.G×ニトロプラス
- 出版社/メーカー: マッグガーデン
- 発売日: 2013/02/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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右手のドミネーターを手放すこともできない。
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それを手放して犯人を殺すのは、監視官には認められていない。朱だって、ドミネーターの指示に反した殺しなんてまっぴらごめんだ。ドミネーターの利点は、たとえ人を殺しても、その責任を人間ではなく「システム」が背負ってくれること。
ドミネーターの殺しは、社会全体で殺すのと同義。
猟銃で殺したら、それは――。
自分で殺したことになってしまう。
シビュラシステムが確立して以降,犯罪発生率が激減した東京.だがそこは,目には見えない深く暗い闇のうえに成立したユートピアだった.
同名アニメの共同脚本家によるノベライゼーション.アニメが見られる環境がないので前提知識ゼロで読んだのだけど,完成されたユートピアの話なんだな.ジョージ・オーウェルとP・K・ディックを足したような雰囲気の(どちらも作中で言及があるようだが),生きるのは楽そうだけどちっとも楽しそうではない世界.作者の趣味(百合(レズビアン)とか筋肉とか映画とか)を交えながら存分に描かれている.シビュラシステムとドミネーターという,現象的にはわりあい単純なシステムが,物語においてどんどんと大きな,そして不気味な存在になっていくのがすごくわくわくはらはらする.原作を知らなくてもSFミステリ,あるいは刑事小説として普通にいけるのではないか.ってことでとても良かったです.下巻も楽しみにしてます.