みみとミミ 『魔王な使い魔と魔法少女な 2 金色のツインテール』 (スーパーダッシュ文庫)

「『戦場で死にたい』って言う老兵の気持ちも、案外こうなのかな?」
ふと、さっきの時代劇を思い出す。
『死すべきときに死なぬは恥』
苦く笑って、僕は口を開く。
「――いやいや、恥なんて優しいものじゃあないみたいだよ」

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「自由になる『力』は、『目的』を一瞬で通りすぎてしまうことがある」
魔法少女は、『過程』なんてものを与えてくれなかった。
何の訓練も必要なく一瞬にして、誰でも彼でも好きなように救い守り叩き潰すことができるようになれた。
そこには充実感がなかった。借り物の『力』はどこまでも借り物で、『力』に借りられている自分がとてもとても小さかった。

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魔法少女になれる力を失った瑞希は表面上は穏やかに,しかし内心では気の抜けたような日々を送っていた.文化祭ももうすぐの時期.そこに現れた後輩の妹(ツインテール)に翻弄される.
強大な力を持った魔法少女が,その力を失ったあとにはいったい何が残るのか? 一巻(感想)が「正義」の話だとしたら,今回は「力」の話と言える.持っていた力を失ったヒーローと,力のみを望まれながら,力が足りず期待に応えられなかった者を対照的に,かつかなり露悪的な描写を交えて描く.ポストヒーローものというか,ジャンル的にポスト「アンチ・マジカル」と言うとしっくりくるかもしれない.最終的には「正義」の話に帰結するのだけど,この結論が個人的に非常に良いと思う.似た作風の作家はたぶんかなり多いと思うのだけど,これはわりと純粋に「ヒーロー」を語った物語ではないかなー,と思うのですよ.まあ「魔法少女」である必要があまり感じられないのはご愛嬌ですが.