喜多南 『僕と姉妹と幽霊(カノジョ)の再会(コンタクト)』 （このライトノベルがすごい！文庫）

僕と姉妹と幽霊(カノジョ)の再会(コンタクト) (このライトノベルがすごい! 文庫)

こいつは一体何を言っている？　自分は選択を間違えたのか？
クロの指先が震える。
「僕は、成仏するわけにはいかないんだよ」
それが、彼が理性を保って発した、最後の言葉となった。

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自分に取り憑いた兄の幽霊を成仏させて欲しいとオカルト研究部にやってきた少女，高津浅葱．だが，その取り憑いている幽霊本人である高津蘇芳は，まったく成仏するつもりもなく，それでいて心残りもないとのらりくらりと言う．
兄の幽霊と生き残った妹の不穏な関係について．幽霊との恋愛譚の伝統的な部分を取り入れつつ現代風に，だと思うのだけど，どうもどっちつかずになってしまった印象．幽霊と言いながら，基本的に対話が可能だし，あまり怖さがないというか．ストーリー自体は悪くないと思うので，今回の二人に焦点を絞って悲壮感をぐいぐい押し出してくれれば良かった，気がする．