頂生崇深 『化魂ムジナリズム』 (MF文庫J)

化魂ムジナリズム (MF文庫J)

化魂ムジナリズム (MF文庫J)

空想の中のお化けに抱く恐怖と、実在する妖に抱く恐怖は、根本からして違うのかもしれない。
お化けに対する恐怖が『無知』からくるもの、つまり、あくまでお化けの生態が計り知れないということからくるものなら、妖に抱く恐怖はその真逆の『知』からくるそれだ。どのように生き、何を目的とし、そのためにはどのような手段に出るか、分かっているからこその恐怖。

Amazon CAPTCHA

巨大な蜈蚣の化け物に襲われ命を落とした御蔭和希は,化狸の妖である間宮鈴に命を救われる.鈴の魂である《化魂》の半分を身に宿した和希は,清白魂(すずしろ)を宿した同級生,榊さんを化け物から守るため奮闘をはじめることになる.
現代学園妖怪譚.なんというか,「タイガー&バニー」ならぬ「タヌキー&キツネ」という感じ(タヌキの英語が出てこなかった).ヒロインが度を超えた(というか輪廻を超えた)マザコンだったり,主人公(♂)と幼なじみ(♂)が「カズキ」「はーくん」と呼び合いながらメールしたり,キャラクターの造形がやけに特徴的.ただストーリー自体は普通,かなあ.言葉遊びや語呂合わせが一種のトリックになっている,というのは怪異譚では珍しくないけど,ラストは少しスマートさに欠ける印象でした.