{読書]円居挽 『今出川ルヴォワール』 (講談社BOX)

今出川ルヴォワール (講談社BOX)

今出川ルヴォワール (講談社BOX)

「たとえその身に雷を受けても……指し手黙すは棋士の瑕だ」
達也は空手のまま、ゆっくりとした足取りで堂内から出ていく。
「じゃあな」
そして扉を押し開けると、そのまま今日の闇の中へ消えていった。

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河原町今出川の交差点の南東,鴨川の傍にある,大怨寺.本当の名前を忘れ去られ,地図にも載っていないこの寺で開催されるギャンブルゲーム,権々会に参加することになった達也たち.復讐の思いを胸に戦いに挑む達也の結末はどっちだ.
五山送り火の夜,七人の天狗が住まう大怨寺での権々会.渦巻く復讐の念と,奇人変人たちが集い京都発祥のゲーム「鳳」が双龍会もそこそこに始まる.自分が何を読んでいるのか分からなくなる瞬間が度々やってくる,ってかミステリだと思って読んでたらギャンブル小説じゃないですかー.予想外の方向ではあったけどしかしすげぇ楽しい.変人奇人が次々と登場しても,まあ京都だしな,で片付けられるのが京都の闇の深いところ.「いかにも京大生らしい馬鹿」さを利用した(京都でしか成し得ない)トラップに,知り合いの京大出身者の顔が浮かんでは消え脳内をスクロールしていった.