原案:KEMU VOXX/著:木本雅彦 『人生リセットボタン』 (PHP研究所)

人生リセットボタン

人生リセットボタン

予想外に言葉がぽんぽんと出てくることに、僕自身も驚いていた。
なんだ、こんなのでいいんだ。喋る相手の顔色とか心の中とか、そんな面倒なことを一切考えなくてもいいんだ。気楽な会話をしても、いいんだな。

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完璧で潔癖でありたい.兄の影響で「完璧」な人生を目指していた中学生ユウトの願いは,授業参観の日のある事件によって完全に挫折する.失意のどん底にいたユウトの前にその晩,「思い出と引き換えに願いを叶えるボタン」を持った少女が現れる.
170万再生オーバーのボーカロイド楽曲を木本雅彦が小説化.元となった曲は読み終わってから聴いてみたのだけど,最低限で思わせぶりでしかない情報を,上手くふくらませているとは思う.大人になるとピンと来ないかもしれない「リセットボタン」を手に入れるきっかけは,現役世代には切実なものなのではないかな(たぶん),と新鮮な感覚に浸る.ただなんというか,作品そのもののテーマがどうしても好きになれないのよな.暗くて結局のところ救いがない.好みだなんだと言われればその通りなんだけど,これでもかとばかり次から次へと悲劇が脈絡なく襲ってくるメロドラマ的展開はいくらなんでも安すぎる.途中からまったくついていけなくなってしまった.