織守きょうや 『霊感検定』 (講談社BOX)

霊感検定 (講談社BOX)

霊感検定 (講談社BOX)

彼女が生きていたときに、たった一度優しくした。それだけの存在が、この世からいなくなる彼女の表情を穏やかにした。
本人は気づいてもいないだろう、それはとても、すごいことだ。
霊感がなくても、霊の姿を視たり聞いたりできなくても、そんなことができる人間が。そういう人間こそが。

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大阪から東京の高校にひとり転校した高校生藤本修司は,ある日,司書で自称心霊研究家の馬渡に「霊感検定」という試験を受けさせられる.これがきっかけで修司は数々の心霊研究に巻き込まれることになる.
第14回講談社BOX新人賞Powers受賞作.作者は現役の弁護士らしいのだけど,内容にはまったく関係ない.あくまでも幽霊や心霊現象にこだわった,非常にオールドスタイルかつトラディショナルな心霊もの兼学園もの.落ち着いたストーリーに,時折ゾワッとさせられる心霊描写も悪いものではないのだけど,飛び抜けた特徴は少ないかなあ.ヒロインとその幼馴染みがべったりすぎて,間に主人公(転校生)が割り込む余地がない……かと思いきや,そうでもないような含みも見せるのは,なんか蛇足な気がするなあ.主人公が完全な傍観者でもいいじゃない.