谷川流 『涼宮ハルヒの驚愕』 (スニーカー文庫)

「俺はいったいどうすればいいんだ?」
「では考えてみようじゃないか。幸いにして、藤原くんも橘さんも、そして九曜さんにだって言葉が通じる。これが僕たちの最大の武器なんだよ、キョン。考えて、導き出した言葉によって彼らをねじ伏せればいい。簡単にとは言わないが、キミにはできるはずだよ。僕にもね。考えること、その考えを相手に伝えること、これは地球人類が生まれながらに持っている普遍的な能力であるのだからね」

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涼宮ハルヒの分裂』(感想)の直接の続編.平穏なSOS団と不穏なSOS団とに「分裂」した世界の行く末と,新しい神であるハルヒをめぐるニセSOS団の暗躍.αとβという,雰囲気の違うふたつの世界の話を交互かつ断片的に語ってゆく.やりたいことは分かっているつもりなのだけど,端的に言って長い.導入部(ある登場人物の再登場)の緊張がぜんぜん維持できないよ.長いことを除けば取り立てて欠点のない小説だと思う.SFやらミステリやらのくすぐりも多いし,もっとスマートにまとめられなかったのかとは思ったが.あと,前作から発売まで間が空いた(約四年)理由は特にありませんすみませんすみませんとしおらしく繰り返すあとがきはなんだか読んでて胃が痛くなった.もらい胃痛.