小林泰三 『人造救世主 アドルフ・クローン』 (角川ホラー文庫)

「勝てる公算があってきたんじゃないの?!」
「いや。いつも、公算とか特にない」
「そんなんでどうして生き延びられたのよ?!」
「さあ。運がよかったからかな」
「きっとそうね」

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悪の組織MESSIAHにより生み出された超人クローンたちがヴォルフとひとみに襲いかかる.明かされるヴォルフの過去,そしてあの「英雄」である男との最後の対決.
組織により造られた英雄のクローンの物語完結.無闇にグロテスクで残酷,なのにやけに無邪気なストーリー運びと,一から十まで説明したがるトンチキな会話のやりとりがあいも変わらず変な感じ.古い特撮みたいな,というと合っているのかな.怪獣やら超能力者やらの知恵を絞った戦いも,なんかよくわからない独特のテンポと緊張感に包まれているよ.ラストバトルはぜひ映像で見てみたいな.