月村了衛 『機龍警察 暗黒市場』 (ハヤカワ・ミステリワールド)

機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)

機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)

今日から俺はおまえにとってのメフィストフェレスだ。いや、今日からじゃない、ずっと前からそうだったのかもしれないな」
メフィストフェレス。確かゲーテの古典に登場する悪魔の名だ。『ファウスト』だったか。以前リーリヤが話してくれたのを思い出した。
「誓うんだな、俺の法に従うと」

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警視庁との契約を解除された特捜部のユーリ・オズノフは,今ではヴォル・ヴ・ザコーネとなった少年時代からの馴染みのもとを訪れる.元警部としての情報網を利用し,ブラックマーケットで兵器を捌こうとするユーリ.そのブラックマーケットに,〈龍機兵〉(ドラグーン)ではないかと思われる新型機甲兵装が流出したとの情報が流れる.
警官の息子として生まれたユーリ・オズノフを中心に描く第三巻.生まれついての犯罪者ゾロトフとの少年時代から続く因縁.腐敗しきったモスクワで,「最も痩せた犬達」の一員として理想を追う刑事時代.それから変転を経て日本に流れ着くまで.非常に密度が濃いのにサクサクと読める,理想的なエンターテイメント.男たちが作っていくストーリーも実に濃密.良いものでした.