望公太 『Happy Death Day 自殺屋ヨミジと殺人鬼ドリアン』 (GA文庫)

Happy Death Day 自殺屋ヨミジと殺人鬼ドリアン (GA文庫)

Happy Death Day 自殺屋ヨミジと殺人鬼ドリアン (GA文庫)

「なんでもいいわよ。でも、シドは生きてて楽しいんでしょ? それなら、なんで自殺するのよ?」
「楽しいからだよ。自殺したら、自分を殺せたら、俺は、この世界と自分をもっと好きになれる気がするんだ」
「変なの」
「お前が言うな」

Happy Death Day 自殺屋ヨミジと殺人鬼ドリアン (GA文庫) | 望 公太, 晩杯 あきら |本 | 通販 | Amazon

自殺しようと考えた19歳の大学生シドは,ネットで見つけた自殺屋に,酔った頭で自殺の依頼をかける.翌日現れたのは自殺屋のヨミジ.ヨミジは依頼料10万円で,一週間後に理想的な死をもたらしてくれるという.
完成してしまったが故に自殺をすることにした青年は,死を迎えるまでの一週間に自殺屋やら殺人鬼やら超能力者やらに出会う.第3回GA文庫大賞優秀賞受賞作.なんというか,空虚な話ではある.生きる理由はなく,死を恐れるわけでもなく(でも痛いのは嫌),何か変なことが起こってもこれといって精神に変化が起こるでもない.前進もしないし後退もしない.フラットな精神状態を保ち,達観した主人公をよく描けている,と言っていいと思う.そのためか,読んでも心が動かされることもないのよな.ただひたすら空虚.これが狙い通りなら大したものだと思うんだけど,どうなんかな.