高木敦史 『演奏しない軽音部と4枚のCD』 (ハヤカワ文庫JA)

「塔山が使った〈メタル・マシーン・ミュージック〉ってアルバム。国内盤では〈無限大の幻覚〉って邦題が冠されているらしいんだけど」
それからわたしの目を見つめ、
「あんたの見てるのも、きっと幻覚だよ?」

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高校一年生の楡未來は,亡き叔母が遺した「4枚同時再生」が必要なCDの謎を解くため,軽音部の部室を訪れる.そこにいたのは,演奏しない軽音部員の塔山雪文だった.
音楽と学校をめぐる全四篇の謎(+BONUS DISC).ライトノベル出身の作家だし,『アニソンの神様』(感想)の青春ミステリ版みたいなものかなと思いつつ,各章のタイトルになっている「ザイリーカ」「コンタルコス」「無限大の幻覚」「ハートに火をつけて」「ザ・インフォメーション」というチョイスが,その方面でどのような塩梅なのかよくわからない体たらくである.ドライともシニカルとも違う独特のとぼけた文体で,キュンキュンする読みやすい青春ミステリ.広島出身の広能先生にもキュンキュンした.楽しゅうございました.