森田季節 『ノートより安い恋』 (Yuri-Hime Novel)

ノートより安い恋 (Yuri‐Hime Novel)

ノートより安い恋 (Yuri‐Hime Novel)

「いっそ、美しい人以外、性欲なんてなかったらいいのに」

ふたごごっこ

「今度、実験する機会があったら、私たちを未来へ飛ばそう。未来と言わず、過去にも飛ばそう。この時間軸のあらゆるところに私たちを存在させよう」
「すごい、まるでわたしたち神様みたい」
「神様になろうよ。時間ぐらい、ぽーんと越えちゃおう」
私たちよ、ふえろ、あふれろ、いろんなところで。

ふたごごっこ

コミック百合姫に掲載された短篇4本に書き下ろし3本を収録した短篇集.姉と妹,いじめっ子といじめられっ子,大学生と小学生,神様と巫女,自分と自分と後輩.様々な組み合わせの百合を様々なジャンルで美しく描く.自分の生まれ故郷が閉じられた町であることに気づいた小学生が脱出を図る「そこから塔は見えるか」,「自分」との百合を描くSF「ふたごごっこ」も良かったけれど,ベストは「池姫」かな.ある女子高生たちのコミュニティで代々受け継がれる慣習にぞわっとする.伝奇小説の味.いやしかし,なんでも器用に書くひとだよなあ.