大泉貴 『古書街キネマの案内人 おもいで映画の謎、解き明かします』 (宝島社文庫)

「映画の解説から劇場への要望、あるいは映画にまつわるお客様の悩み相談まで、映画に関することであればなんでも承っております。
お客様と映画を繋ぐ、それが案内人である私、六浦すばるの務めです」
きゅっと唇を結び、誇りをみなぎらせた表情で立つ六浦さん。

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神保町の古書店で叔父の遺品を整理した帰り.大学四年の多比良龍司はふらりと立ち寄った小さな名画座「神保町オデヲン」で,案内人の六浦すばるに出会う.
名画座を舞台にした小さな謎と人情話.『E.T.』,『羅生門』,『イングロリアス・バスターズ』といった実在の映画タイトルをあげながら描かれてゆく.同じ作者の『アニソンの神様』の映画版,ミステリ風味というとイメージが近いかな.無難といえば無難な,いわゆるお仕事小説だけど,フィルムの取り扱いや興行にまつわる話はほとんど知らないものばかりで興味深く読みました.