乙野四方字 『アイの歌声を聴かせて』 (講談社タイガ)

「時間は解決なんかしてくれない。傷口が固まっちゃうだけ」

AIが社会インフラの一部になった、少し先の未来。AI研究者の母を持つ高校生の悟美のクラスに転校生がやってくる。転校生の少女、詩音は人型AI開発を目的として秘密裏に進められたシオン・プロジェクトで開発された人型ロボットだった。

悟美を幸せにすると宣言し、どこでも歌うポンコツアンドロイドの詩音に周囲は翻弄される。先週から公開中の映画『アイの歌声を聴かせて』のノベライゼーション。映画の方はまだ観ていないのだけど、おそらく脚本に忠実なタイプのノベライズだと思われる。ひとを幸せにしたいと願い行動する純粋なAIと、様々な悩みが尽きない人間の対比がまぶしい。細かいSFとしてのあれやこれやよりも、映画的なビジュアルが強く浮かんで印象に残った。



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