綿世景 『化け物たちの祭礼 呪い代行師 宮奈煌香』 (二見ホラー×ミステリ文庫)

呪胎。

その業は先祖代々女系に受け継がれてきたもので、ある種の宿命だ。

呪胎によって取り込んだ異物を浄化し、私の体を綺麗にするのが鬼狐様のお力だ。だから私が行っているのは、単なる仲介に過ぎない。

私はただの容れ物だ。それも、ゴミ箱のような。

呪いをその身に引き受ける呪い代行師、宮奈煌香のもとに、猫に関連した呪いの相談が立て続けにやってくる。煌香は姉のように慕う霊能者の勧めによって、知人の探偵とともに呪術をかけた者を探すことにする。

「これを、人は末代までの呪いと呼ぶ」。仮面の呪い代行師、宮奈煌香に降り掛かったとある夏の出来事。良くも悪くも理不尽な話であり、なおかつ展開と転換が早いため、読んでいて置いていかれることが多かった。単純に尺が短いだけなのかなあ。ぶっ飛んだ登場人物や、あちこちから垣間見える露悪趣味がストーリーに活かされている感じが薄くて、もったいなく感じた。