夢見夕利 『魔女に首輪は付けられない』 (電撃文庫)

「法律ねえ、たしかに大切だ。でもねローグ君」

と、魔女が人差し指を左右に振り、笑いながら言う。

「私がそれを守る必要はどこにもないんだよ。魔女だからね」

かつて貴族が独占していた〈魔術〉が民衆に浸透するに連れ、都市の治安は悪化の一方。事態を重く見た『二大貴族』が〈魔術犯罪捜査局〉を設立し、治安維持に乗り出してから10年、表向きの治安は大きく改善されていた。局長から呼び出された捜査局員のローグ・マカベスタは、いわくつきの任務を命じられる。

第30回電撃小説大賞受賞作。捜査官と刑期数千年の魔女のバディもの。ヒロインの〈人形鬼〉ミゼリアが正確もしゃべり方も概ねアグネスタキオン(ウマ娘)なので、あの感じで脳内再生されて止まらないのがちょっと困った。それもあってか、様々な〈魔術〉を持つ、訳ありの女の子(数千年生きる魔女にして囚人)たちの姿にも今ひとつ緊張感が薄く、スマホゲーみたいだなという感想を抱いた。これが昔ならハーレムものみたいだな、という感想になったかもしれない。