手代木正太郎 『魔法医師の診療記録6』 (ガガガ文庫)

魔法医師の診療記録 6 (ガガガ文庫)

魔法医師の診療記録 6 (ガガガ文庫)

クロードの股間のもの――それが、常軌を逸して巨大だったのだ。

丸太とでも言おうか、天を磨するほどとでも言おうか、とにかく規格外に、魔界的に、地獄のごとく長く太かったのである。そのサイズ、形状たるや勇猛果敢剽悍無比で知られる女戦士たちをして怖気を感じさせずにはおかぬほどに凶暴兇悪だったのだ。

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大陸南端に存在する大密林,〈魔魅の大苗床〉.この秘境の最深部に眠ると言われる大量のガマエを求め,盗掘人,ハンター,探検者,医者からなる15名の探検隊が結成された.だが彼らはまだ知らない.この探検行が彼らの想像を絶して妖しく怪奇に満ちたものになるということを.

人跡未踏の大魔境に潜むは人間を喰らう一眼一角巨人(キュクロプス)岩鬼(トロール),男をさらう女人族(アマゾーン),そしてフェアリーとエルフ.小栗虫太郎の『人外魔境』,香山滋の『人見十吉シリーズ』,『少年王者』を再読しながら書いたという,冒険活劇と化したシリーズ第六巻.これひとつだけで一冊の本が書けるんじゃね? と思うようなアイデアを惜しみなくつぎ込んでいる.恐るべき密度.エピソードが並列的に並ぶ前半はどうだろうと思っていたのだけど,世界の成り立ちが語られ,あの問題のひとがまさかの再登場を果たす後半にかけて恐ろしい勢いで物語のテンションが上ってゆく.毎度毎度,ほんとにすごいし楽しい.そして,六巻目にしてはじめて書かれたあとがきが熱い.今後がますます楽しみになってきました.