桜庭一樹 『推定少女』 (ファミ通文庫,ISBN:4757719957)

「いまこんなに苦しいこと、あとほんの何年かして大人になったら、忘れちゃうのかな? それで、いいわねぇあれぐらいの年の子、悩みなんてなくて、なんて平気で言えるようになっちゃうのかなぁ?」
(中略)
「おねえさん、十五歳のとき楽しかった? 悩み事、なかった? あったでしょ」
問われたおねえさんは、遠い目をした。
「十五歳だったときの自分に、あやまって」

感動した.
物語は,訳あって家出した少女が銃を持った謎の少女と出会い,東京へ.大雑把にくくればそんなガールミーツガールSF.
上で引用したようなものから細かい表現(「柿のようなにおいの義父」とか)までいちいち生々しくて,そこに私の子供的な部分が刺激されたのかもしれない.陳腐な感想になる(というより,陳腐な感想しか出てこない)けど,自分が十五だったころを思い出し,痺れた.銃を撃ちまくった(通過儀礼,なんだろう)後に白雪が消え,別れを告げるラストに泣いた.ある意味『イリヤ』と対になる物語かもしれないと感じた.思春期の少年少女よりも大人が読んだほうが感動は大きいと思う.
私がぐだぐだ書いたところで陳腐な感想にしかなり得ないのでこの辺で.個人的には今年度上半期でいちばんの収穫だった(滅多に変えないフォント色を変えたあたりでお察しください).