沖田雅 『先輩とぼく』 (電撃文庫)

先輩とぼく (電撃文庫)

先輩とぼく (電撃文庫)

なるほど.
普通こういう入れ替わりもののお話だと,入れ替わったことによるさまざまな齟齬,食い違い,そして「いかにして元の状態に戻るか」を最終目標に据えたストーリーが一般的だと思うんだけど,この作者はそれをまるまる放棄している.それがこのゆるーい雰囲気を生んでいるのか.面白いな.ちょっと『変身』を思い出したり.
物語中の呼称「はじめ」と「つばさ」がどっちがどっちを指しているのかがわかりにくかったり,しょーもない誤植(バレンタインデーが2月24日)が散見される*1のはまあご愛嬌か.
「面白い」というよりも,「興味深い」というほうが適切かな.褒め言葉として.

*1:私の持っているのは初版なので後の版では修正されてる可能性大