伊豆平成 『日常の夏休み』 (角川つばさ文庫)

日常の夏休み (角川つばさ文庫)

日常の夏休み (角川つばさ文庫)

シュレディンガーとかじゃなくて、やっぱりただの手品なんだ……と、なのが拍手すると、はかせは「てへっ」と照れながら小さな箱を開けた。
「はい、きえた〜!」
たしかに阪本さんの姿はない。
中は空っぽだった。
「消えた消えた! すご〜い!」
この瞬間、阪本さんが本当にこの世から消えてしまっているとは思いもせず、なのが素直に驚くと、はかせは得意げにふんぞり返った。

日常の夏休み (角川つばさ文庫) | 伊豆 平成, あらゐ けいいち |本 | 通販 | Amazon

東雲研究所に夏休みの宿題をやりにきたゆっこ,みお,麻衣の三人組.ここでゆっこが「どこか遠くへ行きたい」と言ったばかりに,はかせによってどこか遠くの宇宙に跳ばされてしまう.一方そのころ,地球には巨大な妖星が近づきつつあった.
『日常』の小学校中級以上向けノベライズ.導入から『妖星ゴラス』でこれは! と思ったらシュレディンガーの箱のようなものでこの世から消されてしまう阪本さんとか,ソーシャル田中啓文なクライマックスからのまったく予想外のラストとか.描きおろしイラストもあちこちにあり(50点もあるそうな),まったく退屈することなくわくわくしながら読んでしまったわ.妖星との衝突を回避する方法が好きすぎる.いい意味で気軽に読めると思うし,子供向けだと思わず手に取ってみるといいと思うわ.