中村九郎 『ロクメンダイス、』 (富士見ミステリー文庫)

ロクメンダイス、 (富士見ミステリー文庫)

ロクメンダイス、 (富士見ミステリー文庫)

ひとつひとつの文は,それこそ額に入れて飾っておきたいくらいに綺麗.
なんだけど,ぶっちゃけ,なにが書いてあるのかよくわからない.
つながりというか流れというか,「物語」をどうしたいのかがぜんぜん見えてこなくて,読みながらすっげーイライラした.
続編が出ると雰囲気がガラリと変わる人や,ひとつの描写にとらわれてほかの部分がおざなりになる人はザラにいる.けどこの人の場合,そもそも文と文がつながっているように見えない.とりあえず思いついたかっこいいフレーズを思いついた順に並べているだけで,ストーリーはフレーズをもとに即興で作ってんじゃないかと邪推するくらいに.
結果,何が言いたいのかまったく見えず,空虚極まりない.
大晦日の小林幸子みたいな小説だと思った.一見すると派手なんだけど,よくよくみると中心にあるものはたいしたことなく,発せられるメッセージは衣装のおまけ.
ファウストに載っていそうな雰囲気がなんとなくあるので,もしかしたら中高生のラノベ読みには受けるかもな,とは思った(超偏見).
あらゆる方面にすいません.