『乙女はお姉さまに恋してる』 (アルケミスト)

透明なセロファンに包まれた、薄い緑色をした薄荷味のキャンディー。
陽射しが反射して、突き抜けて、揺らめいて…まるで小さな地球のよう。
カサカサと騒がしい音を立て、包みを開いて口に放り込めば、微かに鼻へ抜ける刺激と甘い味。
例えば、そんな世界は理想だと思う。
少しだけほろ苦くて、甘い…そんな世界は────。

今しがたコンプリート.いやぁ,楽しかった.感想が上手くまとまらなかったので昨日に続いて箇条書き風味で勘弁.
二次元エンターテイメントは斯くあるべし,ってな具合に色んな要素が詰まっていて,高レベルで噛み合っている.
シナリオの起承転結の「転」が笑っちゃうほどアクロバティックなんだけど,「起」から「承」への話の拡げ方が良くて,更にキャラクターの見せ方・造型が抜群に上手いので,それもまあご愛嬌かな,で済ませられる.
特にメインのルートに絡まないキャラクターの配置,というか使い方は,今まで見たギャルゲの中でもトップクラスに上手いと感じた.良質なアニメ的,というとわかりやすいかも*1
テキストも良かった.普段は強い個性は無いんだけど落ち着いて読みやすく,それに加えて上に引用したようなぽえてぃっくな表現が時折使われていて,それがいちいちツボにはまった.まあこれは好みの問題.
キャラクターでは貴子さん,シナリオではまりやルートが良かった.貴子さんは可愛すぎる.まりやシナリオはちょっと手を加えればそのまま青春小説として通用する.
ひとつだけ難点を挙げると,例えば人物の負の感情とか諍いとか,そういった読み手のストレスになりそうな要因を徹底排除している嫌いがあること.そのため,陽気なエンターテイメントとしてはともかく,物語の深みみたいなものはあまり無いように感じた.でもまあこれも好みの問題かな.
キャラクター小説(ゲームだけど)として見れば上々の作品だと思う.ラノベ好きだったらやってみて損は無い.たぶん.

乙女はお姉さまに恋してる

乙女はお姉さまに恋してる

*1:実際にアニメ化されるようですが