内山靖二郎 『神様のおきにいり2 びしゃがつくの巻』 (MF文庫J)

これから物語の軸になるであろう,妖怪と人間,ふたつのコミュニティの線引きの仕方がすげぇ気になった.妖怪という人ならざるものに「隣人」と「畏怖すべきもの」の二つの属性を持たせるのは(よくあるモチーフだし)良いんだけど,その二面性を生かしきれていないかなぁ.「友人」と「排除するもの」という,わかりやすい話にブレークダウンされちゃっているかな,と.似たようなテーマの『もっけ』に雰囲気の作り方は遠く及んでいない.それ以外の要素(例えば珠枝が焼き餅を焼くとか)も全体的にどこか淡々としている印象.メンタルの描写があっさりしすぎているせいかな,感情移入が出来ないわけではないんだけど,第三者的視点でしか読めなかった.うーむ,ストーリーラインは悪くないだけに,勿体無い気がしないでもない.