冲方丁 『マルドゥック・ヴェロシティ 1』 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

面白かった.1巻はバックグラウンドの説明が主でストーリーの核心はこれからといったところ.スーパーヒーロー然として,それでいて非常に人間臭い09メンバーの描き方が頼もしく格好良かった.弱弱しいだけだったウフコックがだんだんと「らしさ」を身に付けていく過程が特に良いね.と思うと同時に,物語の行き着く先は既にほぼ決まっているだけに,読みながらどこか落ち着かない気分にもなった.
体言止めや記号を多用した文体はちと読みにくいか? でも流すところと締めるところで意図して表現を変えているようなのでそれほど気になるものではなかったかな.おかげである部分では戯曲のような,また別の部分では取調べ調書でも読んでいるような,変な読書感覚を味わったよ.これはこれで悪くない.
ともあれ2巻が楽しみ.