1 巻の刊行前に執筆された短編を含む,四編のシリーズ短編集.元気いっぱいの
ジュブナイルから,その幕間として挟まる日常の断片を切り取って披露する.夏休み最後の小さな体験を描いた
「天体観測」はいちばん本編に近い雰囲気かな.自分の見たもの・体験したことを胸を張って糧にできるリンネマジ大物.
「ジルベルト・ヘイフィッツの優雅な日々」では好奇心とお節介と,何より身内を心配する心を発揮するリンネたちを優しく描く.リンネがどこかの団長のごとく大暴れする
「フィーバー・ピッチ」は作者の遊び心溢れた一本.そして個人的ベストの
「凪、凪、夕凪」.妹を前に年相応に子どもっぽい不満を持ちながら,それでいて「おにいちゃん」を自然にやれる久高.リンネといるときはしっかり者の久高のもう一つの側面は妙に可愛らしく頼もしく,親しみがわく.人は人によって立つ.冒険と成長を是とする過去 3 巻からするとたしょう物足りない気持ちもないでもないけど,この手の番外編としてはレベルは相当高いと思う.まあいちばんにやけてしまったのは「はしがき」なんだけどね.そらもう
(・∀・)ニヨニヨ よ.