森橋ビンゴ 『ラビオリ・ウエスタン』 (ファミ通文庫)

ラビオリ・ウエスタン (ファミ通文庫)

ラビオリ・ウエスタン (ファミ通文庫)

2日続けて高校生の殺し屋の話を(知らず偶然に)読んだわけだが,着地点がそれぞれぜんぜん違っているのは面白いな.こちらのほうがより「いまどきのライトノベル」らしい感じ.
ハナヲの一貫した語り口調文体が良かった.少ない句点で息継ぎさせない文体に『妻四態』を連想した.方向性がまったく違うけど,なんとなく落ち着かなくなる現実感の希薄さが共通していたように思う.ちょっとズレた日常を描くのに向いているのかなこの文体.
しかしこの語り,思考は勢いよく垂れ流している筈なのにどこか共感しがたい部分が多かった.なんとなく距離を置かれているような,どっか冷めているような感覚が読んでる最中ずっと付きまとっていた.あまさず曝された「思考」に対して,「感情」の多くは誤魔化して語られていたような印象を受けたのでそのためかと考えたのだがどうか.どこか不思議ちゃんな思考形態のハナヲに語らせたためかもしれないが,読後感もどこか独特.まあこれは私だけの感覚かも知らん.あとどうでもいいけど上州弁(群馬訛り)が一部おかしくねーですか.
同日発売の『チョコレートゴシップ』よりこちらの方が自分好みだった.同じ現実感が希薄な物語なら,よりエンターテイメント寄りの方が素直に楽しめる.