大澤めぐみ 『彼女は死んでも治らない』 (光文社文庫)

彼女は死んでも治らない (光文社文庫)

彼女は死んでも治らない (光文社文庫)

へ~こりゃすっごいリアルな死体だな~クオリティ高いな~まるで本当に死んでいるみたいだぁ~って思ってよくよく見てみたらマジにリアルに死んでたからめちゃくちゃびっくりした。そりゃリアルなはずだわ、リアルに死体なんだもん。

高校生の神野羊子は,入学早々,幼馴染で親友の蓮見沙紀が死体になっているのを発見する.頭のない逆さ吊りの,大好きな沙紀を救うため,羊子は幼馴染で助手役の昇とともに推理を開始する.

密室に物理トリック.ありとあらゆる手段で何度も殺される大好きな女の子を何度でも生き返らせるため,自称顔面偏差値48の少女は推理する.学園ミステリ? のようなもの.あらすじが言うには「超絶コージーミステリー」.物知らずなのでコージーミステリという言葉を初めて知ったのだけど,しかしこれはコージーミステリの典型だと思っていいものかしら.

やたらと濃いキャラクターたちに,思いも寄らない方向へと進む事件とその最終解決.そこまでの展開からまた想像できない綺麗なラスト.みっちり詰まった作者独特の文体から語られる,元気いっぱいで不穏な空気と,徐々に強くなっていく違和感はさすがのもの.作者の既刊に比べても,いちばんエンターテインメント寄りの作品になっているかもしれない.楽しゅうございました.