新井輝 『私の愛馬は凶悪です』 (ファミ通文庫)

私の愛馬は凶悪です (ファミ通文庫)

私の愛馬は凶悪です (ファミ通文庫)

話自体は俯瞰してみるとシンプルな恋愛もので青春もの.ただし,設定にしろキャラ造形にしろ浮世離れが際立っている.(ある意味ヒロインの)位里をはじめ,周囲が変わり者ばかりのなか,唯一の常識人の霧理を中心に置いて,なおかつ女の子の一人称で描かれているのが良かったのかな.前者の設定はよくあるものだけど,淡々としているようで類書とはまた違った関係描写(つまり絡まったり離れたり)が面白い.やり方次第でエロス度を上げられそうなところを最低限に抑え(=最低限は残す),妙に爽やかに仕上げているのには好感が持てた.真ん中に半端に挿まれた弟のエピソードや,唐突に途切れた感のあるラストも気になる.続きがいつになるのか知らんけど,期待して待ちます.
それにしても,感想巡りしてみるとほとんどのひとが「ROOM NO.1301」を引き合いに出している件.私は2年前に2巻を読んだっきり(しかも好意的でない感想書いた記憶が)なので単体で評価するしか無かったわけだけども.『さよなら、いもうと。』もかなり好みだったことだし,やっぱこの際読んどいたほうがいいのかい.