丈月城 『カンピオーネ! 神はまつろわず』 (スーパーダッシュ文庫)

カンピオーネ!―神はまつろわず (集英社スーパーダッシュ文庫)

カンピオーネ!―神はまつろわず (集英社スーパーダッシュ文庫)

舞台は現代.神を殺すもの=王=カンピオーネ.あらすじをどうまとめたらいいのか分からない.バトルも背景もとっ散らかってなにが起こっているのかよく分からないのに面白いという変な話.私だけかも知らんけど.大筋としては異能バトルもの.神話にこじつけた大仰な設定を含ませたハッタリとケレン味のバランスがいい感じに取れていたかな.「言霊」をぶつけあう,超越者との戦いという意味では神話の時代から使われる文字通りの古典的バトルは肉弾戦と論戦の境界があいまいでどこか妙な感じ.神話の戦いよりどっちかてーと「ダイヤモンド・アイ」を思い出したけど.
そんななかでキャラクターはかなり確立されていたと思う.特に護堂の愛人を自称するヒロインのエリカ・ブランデッリ.簡単には揺るがない愛情と誘惑は少女であって少女でない.一貫したニンフェットっぷりの描き方は新鮮で強力.ほかのキャラクター(女の子)も存在感は強く,ハーレム的なお話においてもこれが「女難」であることがはっきり意識された.節子それ女難やないと叫びたくなる話が蔓延るこの業界においてはわりと明確な差別化なんじゃないかと.
煙に巻かれたような読後感.でもこのハッタリはかなり楽しい.1 巻にしてかなり大きく広げた風呂敷をどう畳んでいくのか見てみたい.ということで続きを追いたいと思ったのでした.