『Narcissu』 (ステージなな)

こちらで知って興味を持ちすぐに買ってみたのだけどそれから一年以上に渡って積んでいたという.まもなく文庫化されるというので慌てて読んでみた次第.まったくもって愛が無い私だ.
病院の 7 階にあるホスピスを舞台にした死にゆくひとたちの静かな物語.逃げようのない死を前にした淡々と.読んで思ったけど,死を前提に,死ですべてを終わらせるお話は爆発オチや夢オチと並ぶ投げっ放しな物語になるんだなあ.ただ死=綺麗なラストに直結するのは納得いかないっつーか腹立つ.死にオチだから出来る話があるのは分かるけどさあ.
何年かの時間を置いたうえで,紙媒体でこれをどう表現するかは興味あるところではある.公式からフルパッケージが無料で DL 可能,ケータイでも無料で読めるらしいので文庫が出る前に読んでみるのもいいかもよ.てことで.
個別の感想.

Narcissu

ホスピスに入院した「俺」は無表情で無愛想な少女,セツミと出会う.7 階でも家でもない場所を求めて,当てもないまま飛び出した二人は西を目指す.主に二人の会話で進められ,与えられる情報は最低限.行間が読めない私が悪いのかもしれないけど,つり橋理論を安直な死に置き換えただけにみえる,嫌いなタイプの話."Products"を読んで「これは意欲的かも」とかうっかり Twitter に書いちゃったりもしたんだけどよく考えたらこれゲームではない「ただの小説」を書きたいという決意表明だよな.

Narcissu -Side 2nd-

前作の 6 〜 7 年前の,プロローグ的ストーリー.入院前のセツミがホスピスに入院している年上の姫子に出会い,"死ぬまでにしたい 10 のこと"を求める.死は避けられなくても,繋がるものは必ずあるんだぜ,的な,ベタでスカした話.時間が流れるループもの.一作目に比べると良かったんだけど,これが一作目に繋がるかと思うとやっぱり釈然としないものが有りや無しや.あとまきいd……ゲフンゲフン,柳瀬なつみおねえちゃんの演技の幅が私が思っていた以上に広いことを知る.