石川博品 『耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳』 (ファミ通文庫)

耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)

耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)

ワジもそうだったが、シャーリック人は変に相手を持ち上げるところがある。だから、尊大なのか謙虚なのかよくわからない印象を受ける。

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巨大だった共和国は,6 年前の第二維新によって本地を中心に 286 の王国や自治活動体を含んだ活動体連邦へと変化していた.連邦のスローガンは「自由・調和・博愛」.ここに設立された第八高等学校は,各王国の王族や本地民を集めて教育する目的で設立された全寮制の学校.行き場がなく仕方なしに入学することになった本地民レイチの学生生活は必然的にてんやわんやになるのだった.
第 10 回えんため大賞優秀賞受賞作.これは楽しかった.学園ドタバタラブコメのフォーマットに,本地民と王国民の対立という文化的衝突というのか異文化コミュニケーションというか,そういうものを交えながら,語りはぜんぜん気張らない.ストーリーにあわせて自然に説明される世界観も面白い.個人的に特に良かったと思うのはシャーリック人の描き方.ライトノベル的なキャラクターからそれほど外れるものではないのに,ずれた言動ではっきりと「野蛮人」を印象づけしている.耳刈りしかり「ナラー」しかり.結果,古い冒険小説か漫画にでも出てきそうな,どこか懐かしくも独特の「野蛮人」像が出来上がっていたように思う.良かったです.続きも買ってあるのでなるたけ早いうちに読みますです.