長谷川昌史 『水晶宮殿 nerim's note III』 (電撃文庫)

水晶宮殿―nerim’s note〈3〉 (電撃文庫)

水晶宮殿―nerim’s note〈3〉 (電撃文庫)

「こんな夢でも、見られてよかったじゃない」少女の声だった。「本当のあなたは、もっと醜いんだから」

水晶宮殿―nerim’s note〈3〉 (電撃文庫) | 長谷川 昌史, Nino |本 | 通販 | Amazon

豪奢な「水晶宮殿」に隠れ住む亡国カルタゴの王族たち.彼らは「試練」をくぐり抜けた人々を集め,毎夜のように豪勢なパーティを催していた.しかし,その城から帰ってきた者たちは,どこか様子がおかしくなっているという.
第 11 回電撃小説大賞金賞受賞のシリーズ第三弾.久しぶりに読んだのですっかりあらすじを忘れていたのだけど,基本的に一冊でほぼ完結する連作スタイルのシリーズなのでそう気にせず読めた.豪華な宮殿で,現実からどこか浮いた王子・王女たちとの食事やらビリヤードやら.地味な話ではあるんだけれど,浮世離れした不気味な雰囲気を丁寧に描いているのが良い.「欲」をキーにした,静かに進行するストーリーと,ぷつっと切れるラストも印象的.続きが気になるところではあるけど,出ることはもうないだろうなあ.