赤井紅介 『それがどうしたっ 1 悪魔に憑かれた時の、ステキな対策』 (スーパーダッシュ文庫)

「ん? 住民票? おまえ、大阪に帰らないのか? てか、大阪のどこから来たんだ?」
「おお。大阪府魔界市。人間にはあんまし知られていないところだぞ」
そんな街ねーよっ! アホか! 大阪どんだけ未開なんだよ! ある意味全体が魔界だけど!

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極端にシャイな性格のため,まったく友だちの作れない少年,穂積真尋.彼には行方知らずの父親がいた.怪しい関西弁を身につけ七年ぶりに帰ってきた父親は,悪魔を自称するちんまいアホの娘を連れてきたのだった.
悪魔の押しかけ女房,学園編.『パーフェクト・ブラッド』を見事な大団円(大団円!)で締めくくった作者の新シリーズ.悪魔と天使(共に大阪生まれ)が密かに近所にいたり,けっこうな量の血が流れたりする,非常にまったりした他愛のない学園もの.ノリツッコミの軽快な一人称のテキストは,前作からかなりキレを増している印象.すらすら楽しく読める.まあストーリー的にはどうということもない話だし,逆に言えばそれだけとも言えるけども.得能正太郎の素晴らしいイラストとともに,「そういうもの」だと思って楽しんだもの勝ちであろう.個人的には「痛びゃああぁぁぁぁぁぁん」(大流血)が妙にツボで気に入った.我ながらどうかとは思う.続きを楽しみに待っております.