大澤誠 『サカサマホウショウジョ』 (スーパーダッシュ文庫)

サカサマホウショウジョ (集英社スーパーダッシュ文庫)

サカサマホウショウジョ (集英社スーパーダッシュ文庫)

「お前にとって、オレは一番の存在だったんだな」
鈍感な山田は、今はじめてそのことに気がついたのだろう。
嵐は何度も頷き、優しく撫でつける彼の手の感触を、嬉しそうに味わった。
山田は、まるで嵐の思いを受け止めたかのように「嬉しいよ」と、口ずさむ。
──だが、嵐の幸せな時間は、その一瞬間だけであった。


「──けど、オレにとって、お前は一番じゃないんだ」


嵐は一瞬、何を言われたのかわからなかった。

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つい最近になって日本近海に現れた魔法国家まほろば.魔法少女たちが住むこの国から,親善大使として日本のまほろ市に派遣されることになった魔法少女のゆうまは,転校先である幻城址学園に近づいた途端,殺人光線で迎撃された.
魔法少女と魔法国家と変人の集う学園と.第 10 回スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞受賞作.いろいろ詰め込みすぎたか,地の文が説明調で終始固いのであんまり読みやすくないのは難だなぁ.読み始めはちょっと楽しくない.大仕掛けが明らかにされる中盤でようやくやりたいことが見えてくる感じ.なぜ魔法国家や魔法少女が突然現れたのか,まほろ市の言い伝えなど,かなり伏線を張っていることがやっと分かるという.嫌いじゃないんだけど全体的にぎこちなさばかりが目立っていた.