藤八景 『星とハチミツの存在証明(テスタメント)』 (このライトノベルがすごい!文庫)

星とハチミツの存在証明(テスタメント) (このライトノベルがすごい!文庫)

星とハチミツの存在証明(テスタメント) (このライトノベルがすごい!文庫)

「決めたぞ、このイグザムの名前は『世改の瞬き(ワールド・リアクター)』だ。俺はこの世改の瞬き(ワールド・リアクター)に誓う……必ずこの世界を()え、くだらない戦いから修正者(コレクター)証明者(テスタメント)も救い出すことをな!」

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11年前,一番星光世は母親である一番星世改を失った.今では普通の高校生として暮らしている光世の前に,修正者(コレクター)を名乗る異形の存在が現れる.
「超・王道」のコピーに偽りなしの,正義のヒーロー小説.すべての存在を救おうとする少年の戦いは,今どき珍しいくらい真っ直ぐなもの.まさに不屈(アンブレイカブル)を体現している.不屈(アンブレイカブル)すぎて逆に不健康な印象を持ってしまうのは読み手(自分)の問題かもしれない.しかしそれより特徴的なのは,造語やルビ,擬音の使い方の非常に独特のセンス.同じルビを何種類もの言葉にかぶせて,いくつもの意味を持たせたり.「存在考殺(イグジスト・キャンセラー)」だの「声存狂奏(カプリチオ)」なんてもの最初は「えっ」と思ったけど,ひとつの単語で三つの意味を持たせようとしてるのな.それらがストーリーに生かされているかというと難しいのだけども.あと「火火火火(カカカカカ)」(笑い声)とかも印象に残る.はっきりとここが,と指摘できるわけではないんだけど,『繰り世界のエトランジェ』に似通った部分がかなりあるような気がした.