- 作者: レイ・ヴクサヴィッチ,庄野ナホコ,岸本佐知子,市田泉
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2014/07/14
- メディア: 単行本
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モリーに宇宙服が出はじめたのは春だった。ほんの一年前までは原因不明の珍しい皮膚病だと思われていたこれも、いまやすっかり流行り病になっていた。皮膚が宇宙服に変わり、やがて宇宙に飛び立ってしまう。そういう病気だ。飛び立つまぎわ、人々は必ず何か手近なものを一つつかんでいく。モリーもジャックも、治すことはほぼあきらめていた。たとえ治療法が見つかったとしても、おそらく何年も先のことだ。とても間に合わない。ジャックも発病するのは時間の問題だったが、それこそまさに、二人が話し合うのをためらっている点だった。二人ともいずれ飛び立つ。だが、いっしょには行けない。
僕らが天王星に着くころ
33篇の短篇を収録した,2001年度フィリップ・K・ディック賞候補作.奇想……と言えばその通りなんだろうけど,帯の「生真面目なふざけ方」という文句の方がしっくりくる.皮膚が宇宙服に変わってしまう奇病にかかった夫婦の話「僕らが天王星に着くころ」でしっとり始まったかと思ったら,地球に迫り来る隕石も,観測さえしなければなかったことにできるはずと,頭に紙袋をかぶって量子力学的(?)に解決を図る「