伊崎喬助 『スチームヘヴン・フリークス3』 (ガガガ文庫)

スチームヘヴン・フリークス 3 (ガガガ文庫)

スチームヘヴン・フリークス 3 (ガガガ文庫)

この光景を目撃した、すべての人間が気がついた。
これは、今までこの街に現れた怪人(フリークス)たちの中でも最悪のものだ、と。

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新市庁舎の落成式に市長の肝いりでお披露目されたスチームアーマー,ミネルバに湧く蒸気天国(スチームヘヴン)ことビザーバーグ.そこにヘルメットの怪人(フリークス),ゴルディアスの陰謀によりクリーチャー化した電光弾(フルギュレーター)が降り立つ.スチームアーマーとクリーチャーの対峙によって,ビザーバーグは一層の狂騒を見せていく.
ヒーローと怪人が渦巻く都市を描くスチームパンク第三巻.少年漫画的でもありアメコミチックでもあり,良い意味でエンターテイメントの王道を行く物語は今回も楽しく,洒落たテキストやくすぐりも健在.「相棒(サイドキック)はよしてくれ,俺の相棒(パートナー)だ」とか,しょぼくれたエンジニアの父が誇らしくて仕方ない小さな息子とか,そんな男の子に強い感情移入をするニコラスとか,普段はいがみ合うバスカーズとトライデントの共闘とか,ツボをぐさぐさ突かれる.しかしまあけっこうなバッドエンドではあるのよね.あとがきを読む限りでは続きが出るかどうか微妙なのは気のせいだと思いたい.ともあれ今後に期待しております.