零真似 『いずれキミにくれてやるスーパーノヴァ』 (スニーカー文庫)

いずれキミにくれてやるスーパーノヴァ (角川スニーカー文庫)

いずれキミにくれてやるスーパーノヴァ (角川スニーカー文庫)

「ヴィー、ヴィー、ヴィー。こちら、エレメンタル第三惑星――地球。オーバー」

ソナーを当てたみたいなチューニングの音と、数秒のノイズが入って、通信が繋がる。

『ヴィー、ヴィー、ヴィー。こちら、ストラト星雲第七惑星――トロイメライ。オーバー』

日常のしがらみから解き放たれてよく伸びた僕の声と、優しい少女の声とが行き交う。

日付が変わってからの10分間だけ,一万光年離れた惑星と繋がる不思議なトランシーバー.高校生のイズミは,このトランシーバーで誰ともしれない惑星の姫スピカと話をするのをただひとつの楽しみにしていた.そんな世界はある日,空から墜ちてきたスピカとイズミが出会うことで改変される.

一瞬にして分岐してしまった世界で,空から墜ちてきた宇宙人の妹と暮らすことになる.雰囲気重視の青春SF.景色やビジュアルの描写に独特の雰囲気があり,アニメ映画にすると映えそう.そういう意味で,話はぜんぜん違うのだけど『君の名は。』を連想した.テキストは全体的に洒落ている反面,けっこう目が滑る.タイトルを含め,スカした雰囲気を楽しめれば,かなあ.