総夜ムカイ 『青色ノイズと〈やきもち〉キラーチューン ワケありJKと始める男装V系バンド』 (MF文庫J)

青色ノイズと<やきもち>キラーチューン ワケありJKと始める男装V系バンド (MF文庫J)

青色ノイズと<やきもち>キラーチューン ワケありJKと始める男装V系バンド (MF文庫J)

「魔法? って、それ……ウイッグだよな……?」

化野はちょこんと跳ねた猫耳に手を触れ、頷いた。

「これはボクが――ビジュアル系に生まれ変わる魔法なのさ!」

自分の声にコンプレックスを持つ高校生,大上透.文化祭ライブで大失敗したトラウマを抱えていた彼は,同級生の化野音子にビジュアル系バンドに誘われる.水色のウイッグで男装し,教室での地味な姿とは別人になった化野との出会いが透を変えていく.

理想の自分に生まれ変わる魔法,それはビジュアル系ロックバンド.第14回MF文庫Jライトノベル新人賞審査員特別賞受賞作.デビュー作にこれを言うのはおかしいかもしれないのだけど,ザ・若書きというか,とにかく青臭い.書きたいことがまとめきれていない感じがするし,どのキャラクターを描きたいのかわからない,ポエジーで目が滑る(ライブシーンで顕著)といった欠点も多いのだけど,若さと勢いだけはひたすらに感じた.

あと内容とは関係ないのだけど,あとがきに伏せ字をつけて謝辞を書くのなら,まえがきで「敬愛する西川貴教に捧ぐ」とか載せるくらいやったほうが良かったのではないかな.