- 作者:ヰ坂 暁
- 発売日: 2020/12/15
- メディア: 文庫
疎外感。
皆が涙する美しい物語が、嘘っぱちだと俺は知っている。
「死んだらどうなるのかな、人って」。余命数ヶ月の親友、狭山殉は溺れる子供を助けようとして溺死した。葬式帰りの俺の前に現れた少女、奥城灯は、殉の死がトリックを使った自殺だと告げ、動機を一緒に探ることを提案する。
「死んだらすべて終わりなのに、なぜ我々は生きるのでしょうか?」。余命数ヶ月を残した親友は、事故を装い自ら命を絶った。その理由を追うふたりは、殉が連続殺人事件に関与していた可能性を知る。それぞれの「生きる理由」と、天国と呼べる場所を追ってゆく、「祈りと救済のミステリー」。講談社ノベルスや講談社BOXの血筋というか、テーマに比してどこか意地の悪さを感じさせる語りになっている。嫌いではないのだけれど、それは果たして救いなのか? と個人的には思ってしまうな。